マンション管理の自治のあり方や運営の方法は"区分所有法"(建物の区分所有に関する法律)によって定められています。この法律を基にして、
各マンションに"管理規約"が置かれています。更にこの規約を基づき、マンションの管理・運営の決定機関となるのが、年1回以上開催が義務付けられている"総会"です。
その総会で承認された"理事"によって、日常の管理・運営が行われます。つまり、理事は組合員の代表で、組合員の利益を優先して業務をおこなう義務を負っています。
以下は理事になったときの心得を記載しています。是非参考にして、理事になった方の手助けになればと思います。
心得1、理事の仕事には積極的に取り組む
理事を依頼されたら、快く引き受け、任務終了まで前向きに取り組みましょう。そうする事で理事同士の交流も生まれ、
理事になったことでマンションの管理のしくみがわかり、生活がしやすくなったという理事経験者も少なくありません。
心得2、すべての決定は話し合いによって決める
管理組合の運営は、理事会や理事長に一定の権限が与えられていますが、管理についての大事な決定は、組合員が一定以上出席した、
総会を得ないと下せません。理事(理事長)による勝手な判断はトラブルの原因となります。なんでもオープンに話し合って決める習慣を持ってください。
心得3、管理規約に則った行動をする
管理規約は、「区分所有法」に則って作られるものです。自分たちのルールですから、自主的に作っても良いものですが、
区分所有法と矛盾する内容の管理規約は、原則として無効になります。新しく規約を作ったり、改正する場合は、国土交通省が区分所有者を保護する目的で、
「マンション標準管理規約」という規約例を公開しているので参考にしてください。
心得4、住民の代表であることをいつも意識する
マンションではさまざまなトラブルが起こります。そうしたトラブルの解決に努めるのも理事の仕事です。実際トラブルが発生したら、
管理会社に依頼するケースが少なくありません。ただ実務は管理会社に行ってもらいますが、主体はあくまで管理組合なので、最終的な意思決定は管理組合が行い、
理事で解決できないような重要な事項は総会に諮ることになります。
心得5、住民との接し方は「平等」が第一
管理組合の運営は、民主的なものではないといけません。理事会で住民の意見を聞く必要があったら、全戸へのアンケート調査などを実施しましょう。
トラブルが発生したときも、理事は両者の意見を十分に聞き平等に接することが求められます。どんな場合も片方の意見だけを聞くのは理事として不適切。
あくまでも公平な立場を厳守することが大切です。
心得6、住民が積極的に参加してくれるように努める
通常総会や臨時総会は管理規約に定められた組合数の出席人数(委任状を含む)がないと成立しません。総会への出席者を増やすには、地道な仕事ですが、
日頃から広報活動を充実させたり、アンケートを実施して組合員の声を聞いたり、住民が参加できるクラブ活動を促進したりして、常に住民に働きかけ続けることが大切です。
心得7、個人情報が漏れないように細心の注意をする
理事会には住民お個人情報が集まります。管理費滞納者名、個人名を挙げての苦情等です。その内容を公開するときは慎重に行わなくてはいけません。
議事録は原則、公開するものです。理事会では実名で話し合っても、書類に残すときは、名前を伏せるのは当然です。
部屋番号など本人が特定できる情報も公開してはいけません。
心得8、管理会社とは緊張のある関係を維持する
管理会社に十分に働いてもらうには、理事が管理会社と馴れ合いにならず、厳しい目を光らせることが大切です。
心得9、管理費は一円たりとも無駄にしない
マンションの運営は、無駄な経費を抑え、効率的な運営が求められます。但し、お金を惜しんではいけない部分、節約してもいい部分
を適切に判断し、管理費や修繕積立金を効果的に使うことが大切です。
心得10、管理の維持にメンテナンスを欠かさない
管理組合の仕事の一つは共有部分の維持管理です。日常の細かいメンテナンスや、大規模修繕工事を計画的に行っているマンションとそうでないマンションでは劣化のスピードが大きく違います。
理事の役割は、こしたマンションの老朽化を抑制し、資産価値を守ることにあります。